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■2016/04/07
手遅れになる前に
二歳年下の夫と結婚して三年、子供はいません。休日、夫と一緒に神戸市内にあるお洒落なレストランに行くことが、専業主婦である私の唯一の楽しみとなっていました。
神戸に本社をおく建設会社で営業をしている夫は、普段から接待で帰宅が深夜になることが多く、週末ともなれば、午前さまも珍しいことではありませんでした。当然、休日は昼近くにならないと夫は起きてきません。しかし、その日は珍しく夫が早く起きてきました。新しく元町にオープンしたイタリアンレストランに行く約束を、夫が覚えてくれていたのだと嬉しく思ったのもつかの間、夫が出勤する身支度を始めていました。不審に思った私が尋ねると、クライアントから呼び出しがあったとのことでした。私は、仕事なら仕方ないと思い、そのときは、何の疑いもなく夫を送り出しました。
それまでの夫は、早く帰宅するときだけ連絡をしてくれていました。もちろん、夕飯の支度のためにです。しかし、そんな夫が、その日を境に、人が変わったようにまめに連絡をするようになったのです。「今日は、何々の接待で遅くなる」とか、「急に何々がトラブって」など、私が聞きてもいないことを細々と説明するようになったのです。また、休日も出勤することが増え、一緒に食事をすることも、めっきりなくなりました。私は、不安な日々を送るようになり、浮気を疑って、何度も夫の目を盗み携帯電話を覗いたりもしました。しかし、確証を得るには至りませんでした。そんな生活が一年ほど続き、ついに夫から離婚を告げられました。理由は、浮気相手が妊娠したということでした。
夫の変化に気付いたときに、浮気の確証を得ていれば、一年もの間、私は不安な日々を送ることはなかったはずです。それどころか、夫の浮気がエスカレートする前に、何らかの手を打つことができたと思います。浮気をするとき、人は用心深くなります。
素人の私が発見できる証拠を残すような下手は打ちません。あのとき、浮気調査のスペシャリストである探偵に調査を依頼していれば、今とは違う人生があったと後悔しています。